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PJ: 安居院 文男

苦しさに耐えて、シニアキングが開花するか=プロゴルファー渡辺司
2010年02月02日 08:02 JST


素振りのスイングの途中に、ボールを置くんですよ。 (撮影:安居院 文男、1月29日 千代田区有楽町) 

【PJニュース 2010年2月2日】1月29日、JGJA (日本ゴルフジャーナリスト協会)主催の会が東京有楽町であった。プロゴルファー、渡辺司氏がゲストとして、プロゴルファーをやめた時期や、プロシニアで勝利した理由などをスピーチした。

日大一高の野球部員として2年生の時、甲子園に行ったが補欠で、3年生の時は、レギュラーだったが、すぐ負けた。4年かかってプロテストに合格し、サンケイスポーツの記者だった父親の紹介で、青木功プロの弟子となったが、もともとは、調理人希望だったそうだ。競技の世界へのあこがれは持っていたが、ゴルフへの情熱はほとんど無きに等しかった。

レギュラーツアーで14回も2位だったのはなぜかという、進行の中野氏の質問に対して、「向上心のなさでしょうね。うまい飯を食ったり、女性にもてたかったり、ちょっといい車に乗りたいと言った程度が、私の向上心の元でしたから」と本心かどうか、あっさり答えた。48歳で肩が痛くて手が上がらなくなり、49歳でツアー出場資格もなくなった。

予選会に出なくなり、競技者としては成立しなくなった渡辺氏が、これから何をしようかと思っていたときに、ある人がアドバイスしてくれたそうだ。「来る仕事は全部やれ、自分に合っている仕事だったら、リピートがくるよ。それが自分に合っている仕事と言うことだよ」と言われたが、「いろいろやったが、なかなか次の仕事がこないので、よろしくお願いします」と、半分本気のように、頭を下げた。

50歳の時に、半田カップという、盲人の方のゴルフの指導をする仕事が来た。その人たちのスイングで、芯に当たる確率が非常に高いことに驚いた。今まで、ミスショットの3大原因は、ボールから目を離す、ヘッドアップ、力む、と言うことだったが、この人たちのゴルフで気がついたことは、全く反対のことだった。

つまり、ボールを見ようとしない、頭を動かすのも関係ない、自分の気持ちのいいスイングでフィニッシュめがけて振る。その軌道のちょうどいいところに、ボールを置くのが大切だと言うことだった。それは、つまり、「素振りのスイングですよね。普通の人の一番いいスイングが、素振りなんですよね。もっと、ボールの位置に気をつけた方がいいと言うことです。私の場合は、ドライバーで、ボール3個左でしたね、その位置が」

慶応病院の先生や、トレーナーの方のおかげで、シニア競技に何とか復帰でき、ゴルフできることがとてもうれしかったが、相変わらず、2007年、2008年にも最終日、最終組で負け続けた。

「ファンケルでも、1打リードしていて、最終的には、尾崎建夫選手に、2打負けて勝てなかったんですが、そのとき、尾崎選手も、非常に苦しそうにプレーしていたのが印象的だった」

「優勝に近づくと緊張感でとても苦しくなる。そこで緊張に耐えきれずに、例えば、ボギーを打ったら楽になるんですね。結局どんなに苦しくとも、その苦しさを持ち続けなければならないんです」

それで、日本プロシニアを勝った。

「17番ホールで思った通りバンカーに入れて、そこからのバンカーショットは、完ぺきに打てた。また、18番ホールのセカンドショットも、なぜそうなったかわからないが、うまくいった」

「人は、平常心の先に、ある意味での興奮状態というか、予備エンジンのようなものを持っていて、偶然を必然に変えることができるんじゃないかと思う」

渡辺氏は言う。なぜシニアで勝てたのか、と言う質問には「ほかの選手の方が、私より体も、心も痛んでいたからじゃあないでしょうか」と冗談のように答えていた。

最後にと言って渡辺氏は、師匠の青木氏が若い頃の態度から、年を経て普通になると、青木も良くなったよねと言われるが、石川遼は若くして心身とも非の打ち所のないスタートだったので、年を経て普通になると、「昔はああじゃなかったよね」と言われるようになりがちなので、「列席の皆さん、どうか温かく見守ってあげていただきたい」と締めくくった。

今年は、芹澤、奥田、加瀬など、10人がシニア入りする。シニアの試合数も6試合から10試合に増えた。渡辺司選手の2010年の活躍によっては、本物のシニアキングが誕生するかもしれない。【了】

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PJ 記者