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PJ: 安居院 文男

電車は空いていた=3日朝思いついて電車でぶらり(中)
2009年05月06日 07:17 JST


本谷川の渓流 (撮影 安居院 文男 3日 山梨県) 

(上)からの続き。増富はさすがに空気が澄んでいて、流れている川の水も透明だ。川に沿って金泉閣という5階建てぐらいのビルがあった。泊まれるかどうか聞いてみると、今、空きが一部屋だけあるが、前に一組空き部屋を聞きに来た人がいた、と言う話だった。隣の不老閣という宿も良さそうだったが、聞いてみると満室と言うことで、すぐに金泉閣を取った。

 4時過ぎだが、まだ明るいので、宿の周りを歩くことにした。これが、大当たりで、自然を満喫することになったのだ。本谷川という、釜無川の支流に沿って車道を上って行き、日受橋と言う橋を向こう岸に渡ると、本谷川沿いに自然遊歩道になっている。遊歩道を川沿いに下ってゆく。遊歩道に入らなければ、瑞牆山への登山道につながってゆく。信越線から見ると、大きなのこぎりのように、ぎざぎざで、険しそうに見える山だ。

 渓流はごうごうと音を立てて流れ、家のように大きな岩が、右手の川の中にごろごろして流れをさえぎるから、流れは渦を巻いたり、釜を作ったりしている。さらに、左の山の方にも、同じような岩がどっかりといくつも座っている。岩の割れ目に木の根っこが入り込んで、岩を割っているように見える。それらの木々は、新緑を吹き出し、生まれたばかりの葉っぱの色が何とも柔らかい。

 山肌に沿って細い遊歩道が所々崩れ、鎖の手すりになっているところが何カ所もある。そんなところから川を見ると、怖いぐらいだ。人には全く会わない。ちょっとした広場があると、そこが小さな林になっていて、やや暗い林に夕日が入って、まるで、もののけ姫の世界だ。二人で、きれいを繰り返しながら、40分ほどで宿の前まで戻った。これで、行き当たりばったりに旅をして自然に浸る、という願いはかなった。

 宿に戻ると、カウンターの主人が、「あのお二人が来ましたよ。もういっぱいになりましたというと、さっきまであったのにーと、残念がっていましたよ」といった。すれすれの一泊だ。ラジウム温泉は、確かに冷たい温泉で、なめてみると、味噌汁ぐらいの塩味と、炭酸ガスが入っているような刺激を感じた。しばらく浸かっていると、何となく暖かいような感じがしてくる。上がり湯は、暖かいお湯だ。ラジウムは、気体で暖めると効果が薄れるらしい。皮膚病とか、神経痛、腰痛などに、効くようだ。武田信玄の隠し湯で、戦の傷を治したらしい。

 温泉とは言っても、温度は体温よりちょっと高いか同じぐらいで、入ると冷たく感じる。浴槽は新しい木で気持ちがいい。源泉が太いパイプからごぼっごぼっと出ているのを、置いてある小さな升で飲むと、薄い味噌汁ぐらいの塩味と、ちょっと炭酸が入っているような刺激があり、鉄さびのにおいも混じる。上がり湯は、暖かいが、普通のお湯のようだ。浴室は、毎日男湯と女湯が入れ替わる。基本的には、湯治客用の温泉だろう。【つづく】

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