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PJ: 今藤 泰資

新型ウイルス、怖いのは風評よりも「公表」だ。
2009年05月20日 07:23 JST

新型インフルエンザの“感染拡大情報”によって、各地で混乱が広がっている。大阪や兵庫では「発熱外来」の病床がパンクし、一部では発熱患者を診療拒否する医療機関もあると報道されている。また、地域内の小中高の登校停止措置をいや応なく取らされ、「外出禁止」を呼びかけているが、元気な中学高校生らが、素直に自宅にいるとは思えない。部活感染や校内感染が、広域感染に移行するのを促進させる結果にならないか心配だ。

ようやく18日にいたって、舛添要一厚生労働相は専門家諮問委員会から「新型インフルエンザは季節性と大きく変わらないとの報告を受けた」として、週内にも対策を切り替える方針発表。「致死率の高い鳥インフルエンザを前提とした政府方針」の変更を示唆したが、そもそも当初から「騒ぎすぎ」の感は否めない。

危機管理の要諦(ようてい)は、「最大の危機を想定し、最善の結果で終わること」にある。今回の危機を扇動したのは(先導と言い換えてもいい)、政府と大手メディアである。特に桝添厚労相の「はしゃぎっぷり」と、連日トップで報道したNHKの責任は大きい。素人目にも感染者数と死者の少なさが、「騒ぎのわりに」少ないことが気になったし、いずれも軽症患者でしかなかった。豚から人へと転移するという未知のインフルエンザに危機感を持つのは当然にせよ、実態の把握が後手後手に回ったことはいただけない。

多少の危機をメディアを利用し大きく報じ、不利な事態から目をそらす考え方は、アメリカを始めとする諸外国の典型的な政治手法である。ここ数日、テレビや新聞で伝えられるのは「マスク、マスクまたマスク」の映像である。しかし、読者の周辺は、みなマスクをかけて仕事に学業に遊びに、専念されているだろうか?そうではないはずだ。

1970年代に2度あった石油危機。当時、石油販売業の現場でガソリンや経由の供給安定の陣頭指揮をとったわたしは、不要不急の需要の発生によって、必要な先に必要な石油製品が行き渡らないことに苦慮した。マスク不足を強調する論法は、メディアとして最低最悪のマナー違反。「冷静に」と呼びかけたいのは、国民にではなく政府とメディアにである。風評被害より恐ろしいのは、「公表被害」。新型ウイルス騒動は、国民の知的センスを磨くには、よい機会かもしれない。【了】

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