SakuraFinancialNews

PJ: 今藤 泰資

【よこ顔】アトピーを克服、韓国で博士号を取得した根本真嗣さん
2009年02月24日 17:09 JST


授与式を終えてうれしさ一杯の根本真嗣さん。5年の韓国生活で持病のアトピーも快癒した(2月19日、忠北大学行政学研究室、撮影:ナム・ミョンヒョン氏) 

韓国の国立忠北大学で行政学博士号を取得した日本人青年がいる。茨城大学人文科学部修士課程を修了後に忠北大学へ留学。見事に栄冠を射止めたのは、愛知県出身の根本真嗣さん(31)。エピソードが多い博士号は、2月19日、林東?(イム・ドンチョル)総長から授与された。

忠北大学は学部生1万8000名、大学院生2200名、教員数は650名。人文、社会学、自然科学、経営学、工学、農業生命環境学、法学、師範学、生活科、獣医学、薬学、医学、コンピューター工学などの各学部のほか、一般、教育、行政、産業、経営、法務、医学などの大学院を有する大韓民国有数の国立大学。根本さんの母校、茨城大学とは提携校の関係だ。

現地清州市の中部毎日新聞は、「日韓の未来の接続コードは民間レベルが中心」として大きく取り上げ、留学の理由、忠北大学を選んだこと、論文主題の「地方政府レベルの国際交流における非営利民間団体の役割」、日韓両国の交流の中でも忠北地域の事例を集中的に研究したことなどを詳しく報道した。山梨県のNPOと、清州市周辺の環境保護団体の交流が基礎テーマとしている。忠清北道は人口約150万人。山梨県と姉妹道県提携し、韓国には珍しい海なし地域だ。ソウルから道庁所在地の清州市までの距離が、東京と山梨県甲府市までの距離とほぼ同じ約130kmであるなどの共通点を持ち、道庁所在地の清州市と県庁所在地の甲府市も姉妹都市提携している。

根本さんは、「日韓間で経済的な交流は既に活発に行われているが情緒的な交流は置き去りになっている。表だけを見ていては、中身を知ることができないのではないか。両国が友人になること、心が互いに通じることから始めるべきだ。そのためには民間単位の交流が活性化されるべきではないか」と強調する。

茨城大学人文学部から修士課程に進んだ2000年7月、根本さんの在籍する帯刀研究室(帯刀治教授)では忠北大学との交換のため、訪韓することになった。ところがこの前後から、持病のアトピーが悪化、全身が火ぶくれ状態になった。実家のある名古屋へ一時帰宅する羽目になっていたから、当然「訪韓などもってのほか」という意見が強く、「刺激的な韓国料理は、ゼッタイ体に悪い」と静養をすすめる意見ばかりであった。

何が根本さんを駆り立てたのだろう。未知の隣国、韓国への憧憬か。単なる好奇心なのか。周辺の反対を押し切って訪韓を強行したのは、もちろん本人自身が一番不安だったはずだが、連日のハードスケジュールをこなし、日増しにつるつる肌に変化する意外性が、博士号に結びついたのだ。「食事がよく合うのか、アトピーはほぼ快癒した。この国独特のパッションがまた大好きだ」と根本さん。母校、茨城大学の提携校でもある忠北大学は、医学部も持つ総合大学で、特に恩師帯刀治(たてわき・いさお)先生と、忠北大学を代表する姜瑩基先生とはじっ魂の間柄。日韓両国の大学教授の友情がなければ、栄冠は得られなかったろう。

初めの1年は、「言葉の問題で、講義がマッタク理解できなかった」根本さん。ハングルの読み書きができなかった青年を後押ししたのが、茨城大学に留学中の中国人ウェイ・ホンさん。「ソウルにも親せきがいる」という朝鮮族出身のウェイさんは、言葉も風習にもなじんではいたが、同じく初訪韓の身の上。同窓の通称「ウーちゃん」から読み書きを教わったことも留学の動機となったのだ。一方、当のウェイさんは、茨城大学修士課程を修了後、漢民族の青年と結婚。日本大好きが高じて、家族そろって日本に帰化したという。

人柄のよさが手伝って、清州市内や忠北大学には「ネモトファン」が少なくない。李明博(イ・ミョンバク)政権以降、減ったとはいえ日韓両国には政治的な摩擦が多い。ややもすると感情が先走りする韓国人を嫌う日本人が少なくない。多くは、刺激的なメディアに引きずられる「嫌韓派」だろうし、逆にヨン様ブームや円高・ウォン安に喜ぶ単純な「好韓派」に分別されるのが現実的な日韓のありようだ。こうした中、根本真嗣さんの博士号授与は、そのテーマに沿って日韓両国、次世代への架け橋になると期待されている。

授与式の当日、清州市一帯に大雪が降った。短期留学生として忠北大学にやってきた日と同じ風景の中、恩師の姜先生から「どうだ、博士号取得の感想は?」と聞かれた根本さん、「これが第一歩です」と返答した。地方自治を専門とする姜瑩基教授は知日派の学者(08年5月のPJニュース)。「普段は厳格な先生も喜んでいただいたようだ」と感想を述べた。根本博士の進路は未定、清州市にとどまって日韓両国に「益する仕事をする」ことになりそうだ。【了】

■関連情報
FXトレーディングシステムズはパブリック・ジャーナリズムの発展とPJ(市民記者)の活動を応援します。
キャッシュバックキャンペーン実施中
PJニュース.net
PJ募集中!



関連記事:
タグ:
pagetop

PJ 記者