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PJ: 今藤 泰資

【よこ顔】父を助け、弟を思い、福祉の道一筋に生きる横張笑理さん
2008年12月14日 07:30 JST


仕事も趣味も極めて多忙だと笑う、横張笑理(えみりー)さん。飾りっけのない表情はたおやかだ。(撮影:今藤泰資) 

都内からのアクセスが飛躍的に向上した最新鋭の鉄道・つくばエクスプレス(TX)。開通後の毎週末には、観光客の姿が増えたつくば市の中心街から北へ約10キロ。筑波山を目の前に見上げる本社事務所で、若く仲のいい姉弟が待っていてくれた。周辺は里山風景、字名は神郡(かんごうり)と呼び、大化の改新による神郡制が成立して以来の地名で、歴史の残る地区である。

横張笑理(よこばりえみり)さんの勤務する先は、父横張和寿さんが起こした幸和義肢研究所という会社だ。20歳で自立をした父は、医療用消耗品をバイクで運ぶ仕事をしていた祖父のバイクの背にすがるようにして、混乱する時代を生き抜いてきた。誰にも負けない義肢製作の技術は、昭和58(1983)年、筑波万博が開かれる2年前に創業した会社で活かされることになった。

なんの違和感もなく、「毎日自宅で父の仕事を見て育ったから、それを手伝うことが当たり前」だったので、専門学校を卒業後、躊躇(ちゅうちょ)なくこの仕事に入った。「だからわたし、親と違う仕事をする人がいるなんて、ごく最近までいないと思っていたんです」と明るく話す。典型的なB型気質(かたぎ)に思わず釣り込まれて、「え?最近まで、気がつかなかった?」とおおらかさに笑いがこみ上げてくる。

「まずは笑理(えみりー)という外国人風の名前の由来を」との質問には、「母は微笑みを絶やさない子になるよう願いをこめて『笑』という漢字を使ったそうです。『笑子』では平凡だから『笑理』に。昔は好きではありませんでしたが、今はこの名前気に入っています」。続けて「わたし、次女なんです。3つ違いの姉は、祖父が知子と平凡な名前をつけたので、わたしの命名には変化を持たせたのかも」。「なるほどお母さんの願いどおりの娘さんになりましたね」と記者。

趣味は多彩だ。忙しい仕事の合間をぬってやることは実に多い。本人のブログによれば、スキューバダイビングが大好き、バスケットも好き、旅行が好きで、温泉も映画も好きで、お買物が好き…「てなわけで、貯金がたまりません」そうだが、7年前知人に薦められたスキューバは、先々の予定を入れておかないと落ち着かないほど大好きだという。三宅島、与那国、小笠原は制覇したので「次の目標はサイパンです」と目を輝かせる笑理さん。

傍らで姉の話をじっと聞いていた弟の巧さん、「わたしはえみり姉さんとは正反対でして、部屋の中にごろごろ転がる義手義足を見た友人が、おまえんち、なに屋だ?」とからかわれたので、「一時は反発して家を出たこともあった」が、この笑いの絶えない仲良し姉弟、仕事の話題に移るときりりと表情が引き締まる。職人気質で頑固な父和寿さんは、家内制手工業を立派な事業とした立志伝中の人。地方では福祉機器販売は特殊な業種だが、本社兼工場に働く社員は35名にまで増えた。脊髄損傷者や義足の方々を多数雇用し、年少は5億円近くになった。当然後継者2人にも気合が入る。

姉弟がこのところ力を入れているのが、12月20日(土)、つくばで開催する「第2回TSKUBA福祉機器展」だ。義手・義足・車いす・電動車いす・姿勢保持装置などの大物福祉機器などの他、リウマチ用や整形シューズ、補聴器から福祉車両に住宅改善の案内にまでいたる大掛かりな展示会になる。もちろん、都内ビッグサイトで開催されるほどの規模ではないが、「地方での開催こそが必要。福祉機器ユーザーは、そう簡単に都会には出られない。

県内の専門医や県内700名の医学療養士にも見てもらいたんですと巧さん。福祉と介護に熱心な先生方から、「一般の人にも現場を知っていただく上にもありがたい展示会」とほめらたと喜ぶ。美人の笑理さん、趣味も仕事もこうもやることが一杯では、「しばらくヨメには行けないね」。弱者に強い社会の構築には、地道な取り組みからかと気がついた師走の筑波山ろくの取材となった。【了】

■関連情報
【会社概要】茨城県つくば市神郡字弁才天369の2。?029-850-7224。1983年創業。資本金・1200万円。義足、義手、装具制作販売。オーダーメードの車椅子、補聴器、コンフォートシューズ等の福祉用具のリースと販売。「TSUKUBA福祉機器展」の案内は、フリーダイヤル:0120-017332まで。

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