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PJ: 今藤 泰資

インディアンサマーの一日。わが庭で見つけた小さな秋
2008年10月10日 06:03 JST


日影に淡紅色の花を咲かすのは「シュウカイドウ」だ。シュウカイドウ科ベゴニア属の多年草を「秋海棠」と呼ぶのは、バラ科の落葉低木であるカイドウに似ているので、秋のシュウカイドウと名付けられたという。花言葉は「片思い」、やはり秋の花らしい。(撮影:今藤泰資) 

好天に恵まれた9日、自宅二階のテラスの窓を開けると、思いがけず馥郁(ふくいく)たる花の香が漂ってきた。ああ、キンモクセイだ。外泊か深夜の帰宅が多い数日だったから、気がつかなかったのだ。あらためて庭に立ってみれば、そこにもここにも秋は一杯。

 キンモクセイは中国原産の常緑樹。10月に開花し、強い芳香を漂わせる。若者たちにはトイレ臭を感じるという現実もあるとか。花言は謙虚、真実、初恋、陶酔などとあった。でもトイレを想起するようでは、初恋は陶酔できまい。

 ジニアリネアリスはメキシコ原産の花、別名を細葉百日草。多花性で丈夫なことから広い花壇などによく植えられている。非耐寒性のため、このままでは冬は越せない。花言葉は「遠い友を思う」。関西在住のT君と夫人の顔が浮かんできた。

 日影に淡紅色の花を咲かすのはシュウカイドウだ。シュウカイドウ科ベゴニア属の多年草を「秋海棠」と呼ぶのは、バラ科の落葉低木カイドウに似ているので、秋のシュウカイドウと名付けられたという。花言葉が「片思い」とは、やはり秋の花か。

 バルコニーで冬支度を急ぐのは、北アメリカ原産の食虫植物のハエトリソウ。ハエジゴクとも呼ばれ、獲物を捕食する姿はウツボカズラと並び有名だ。英語の「Venus Fly Trap」(ビーナスのハエ取り罠)は、2枚の葉のトゲをワナに見立てたのだろう。弧を描いたトゲは芸術的ですらある。

 果てしなき蒼空(そうくう)に自己主張するのはノウゼンカズラだ。ただ一輪の狂い咲きは、なぜなのか。次に見る花は、来年の7月初旬を待つ。アメリカハナミズキの高いこずえを背景にしていたのはトラグモだ。枯れ木に巣を広げてはいるが、どうやら本日は不作の模様。インディアンサマーの日差しの中で一人つくねんと巣を護(まも)っていた。

 今から63年前のこの日は、兵庫県仁川の病院で父が逝った。終戦の年の秋は、残暑がとりわけ厳しかった。葬儀のあと、すだれ越しの庭先を見ながら母は、「もうあなた方に父親はいない。気を引き締めて生きなさい」とわたしたち兄弟に諭した…。古い感傷にふけったちいさな秋の一日。【了】

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PJ 記者