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PJ: 穂高 健一

都庁の展望室で新発見! 東京水の美味しさ(下)
2006年02月26日 07:07 JST

(上)からのつづき。 PJは東京都水道局を訪ねた。総務部調査課の宇井利見課長の説明から、『東京水』が土産品の商品開発ではなく、壮大なプロジェクトの一環だったと知って驚かされた。過去から、多摩川水系は美味しい水で名高かった。反面、利根川水系の評判は悪い。この落差が大きかった、と宇井さんは率直に認めた。それを解決するために、東京都は『高度浄水処理』の導入を図り、現在は利根川水系の金町浄水場、三郷浄水場および朝霞浄水場で設置されている。順次拡げていく予定。具体的には、『オゾン処理』で、かび臭さの原因物質を分解し、『生物活性炭吸着処理』で、異臭味の吸着排除すると説明してくれた。

 東京都は、04年6月の水道週間に合わせて『安全でおいしい水プロジェクト』をスタートさせた。これまでも国の50項目の水質基準を高い水準でクリアしているが、とくに残留塩素は国(0.1以上1.0以下)よりも上限が低く、0.1以上0.4以下と厳しく設定した。また「カルキ臭さ」の原因物質として「トリクロラミン」を特定し、設定した。これによってカルキの臭いを少なくした。さらに、東京都は独自に不快な味、色度、濁度の厳しい目標を設定したのだ。

 安全で美味しい水は、単に『高度浄水処理』の導入だけではない。古い水道管が腐食し、水を劣化させ、不味さの原因の一つになっていると判断し、新しく取り替えも進めている。さらには3、4階層にすむ住民にも、高架水槽を使わず、直接においしい水道の水を飲んでもらうことに取り組んだのだ。

 同調査課の遠藤邦敏主任の説明では、『高度浄水処理』で美味しくなった東京の水を知ってもらうために、水をタンクなどに詰めて街なかに運び、住民の方々に飲んでもらっていたという。それだと、水の持ち帰りが不便だという声もあり、04年7月にペットボトル『東京水』を作り、イベント時にPR用に配布をはじめたと経緯を説明してくれた。

 「一度、東京水を飲んだ方から、どこに行ったら手に入りますか、という問い合わせが多数ありましたから、同年11月に都庁舎の売店で販売をはじめたんです。ここ一年半でペットボトル『東京水』の試飲用が13万5000本配られ、2万本が販売されました」東京都民1000万人からすれば、1.5パーセント。まだまだPRの余地がありそうだ。

 「利益は取っていません」と宇井課長が強調する。営利追求の否定には驚かされた。「目的はあくまでも水道の蛇口の美味しい水を飲んでいただくことです。安全で美味しい水を知ってもらう。PR用である以上、利益は出せません」と語る。
 
 PJは『東京水』を飲んだことのある人を探してみた。なかなか見つからず、「えっ、ほんとうに東京の水道水をペットボトルに詰めて売っているの?」という驚きの反応ばかり。「東京の水は買ってまで飲みたくないわ」という先入観がもどって来たりする。
 
 あるNPOが秋葉原で定例会議を行っていた。30数名の参加者のなかに、「昨年の秋に友人に誘われ、神宮外苑の日本青年館の、水道局主催のイベントに参加したときに、『東京水』が配布されていました。飲んだところ、こんなにも美味しいのと、びっくりしました」という五十代の近藤美智子さん(世田谷区・松原)に出会えた。「親子連れが多いイベントでした。みなさんは美味しいと口々に言っていました。水道局の方は美味しい水をつくってくれた、頑張っているんだ、と感動しました」と掛け値なしで誉めていた。  
 
 他のメンバーが「そうなの。うちの主人は地方出張が多いから、持たせてあげたいわ。どこに売っているの?」。都庁だと知ると、買いに行こうかしらと真顔で乗り出す女性がいた。それだけ近藤さんの話には『東京水』への賞賛があったのだ。と同時に、博品館TOY PARKの柴田店長が、通販の注文がくるという言葉がよみがえり、納得できた。

 『東京水』のペットボトルのデザインは職員によるものらしいが、ファッション性が感じられた。ものの流行にはデザインが不可欠の要素。デザインと味で『東京水』が想定外の地方から人気を博し、原価販売の安価の魅力から東京でも流行。無欲の商品ゆえに大ヒットになる。そんな予知すら、PJは個人的に感じられた。

 06年2月から『東京水』は都庁舎から枠を広げ、上野動物園、上野公園、東京体育館、東京ビッグサイトでの4カ所でも販売を開始した。【了】



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PJ 記者