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PJ: 穂高 健一

河津桜が3分咲き、寒波で開花遅れる
2006年02月25日 04:39 JST


河津桜がやっと咲きはじめた。桜並木では、観光客がみなカメラマンに早代わり。23日。(撮影:穂高健一) 

この冬はことのほか寒波がつづいた。早咲き桜はどこも例年よりも2週間ほど遅れている。いつもならば1月末から咲く河津桜だが、桜便りがやっと聞こえてきた。河津桜の開花宣言は2月17日だった。2月23日現在では三分から四分咲きである。

 河津桜の魅力は単に桜の美しさだけではない。河津川の澄んだ水の流れ、菜の花ロードと呼ばれる黄色い帯が土手沿いに延々とつづく。と同時に、眼には鮮やかなうす紅色の桜並木のトンネル、見上げれば深遠な青空。四つのコントラストがかぎりなく美的である。河津桜は張り出す枝が極度に低い。それだけにメジロが群れて蜜を吸う愛らしい光景が目線の高さで観察できる。なおさら訪れるひとを魅了するようだ。

 河津桜の歴史は昭和30年代にさかのぼる。飯田勝美さん(昭和41年没)が河津川の土手で、偶然めずらしい桜の木を発見した。まだ苗木だった。数年間はまったく花が咲かなかった。やがて、早咲きで開花した。満開の時期が数週間もつづく。幹は艶やかな平滑で、枝は地上50センチくらいから横広がり。それは過去にはない品種だった。調べた結果、『かんひ桜』「早咲き大島桜」との自然交配だと判明した。
 
 伊東市の勝又光也さんが増殖に着手し、昭和49年から河津町で植栽が行われた。年々、人気が高まり、伊豆半島先端に近い静かな町が、桜シーズンには大勢の観光客を集めるようになった。人出を見込んだ、近在の農家や農園が即売の小屋をだす。東伊豆の農家はフキノトウ、ポンカンを持ち込む。南伊豆の農園は菜の花、岩のりを持ち寄る。さらには下田港の魚屋が金目鯛、しず鯛、真アジ、カサゴなどの干物を売る。こうした賑わいがマスコミで報道されると、河津桜は大人気となったのだ。

 河津観光協会の発表によると、平成16年には122万800人、平成17年には101万9100人の観光客が河津にやってきた。今年は開花の便りとともに、人出が急増しており、2月22日現在では、開花後の観光客は3万2000人を数える。

 桜並木沿いには露天の店が約150の店がならぶ(同協会の説明)。一般業者のみならず、河津郵便局では局長以下6人のスタッフが、この2月1日に販売された『河津桜の記念切手』の販売を行っている。毎年、大勢の注目を集めるのが大道芸人たち。ときには外国人の路上演奏もある。23日には『爆笑猿寄席』が大勢の笑いと拍手を集めていた。猿の滑稽なしぐさと、女性猿回しの口上を愉しむ。まさに名実ともに桜祭りそのものである。

 一本の桜苗木がリンカーンの人生を変えた、という言い伝えがある。河津においても一本の桜苗木の発見が町を変えた。この原木はいまも健在で、樹高7.5メートル。飯田典延(すけのぶ)さんの庭に咲く。原木は五分咲き。

 今年の河津桜の見どころは2月末から3月初旬。開花が遅れたので、花の満開と葉っぱが同時だろう、と地場のひとは予想する。【了】



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PJ 記者