PJ: 穂高 健一
シニアには芸術の香り、メトロ池袋駅で写真展
2006年01月16日 08:38 JST

腕組む若者が足を止めて見入る。シニアには最高の画廊。(撮影:穂高健一) 
東京メトロ有楽町線新線の池袋駅コンコースで、1月14日から『第17回メトロシニア写真展』が開催されている。60歳以上の50人の作品で、120点が出品。テーマの撮影場所は「上野・不忍池とその周辺」である。16回まで銀座駅だったが、今回からは池袋駅に変わった。1月23日まで。
写真展の場所は立教大学に向かう池袋西口のコンコースである。場所がら若者の流れが多い。メトロ駅員の説明によると、こちらの出口を利用する通行人は1日約3万人。開催期間が10日間となると、単純に延べ30万人の視野のなかに入ることになる。
初日に出むくと、和服姿の女性が柱回りに展示された写真に見入っていた。新宿にすむ三十代の玉木さんで、友人との待ち合わせ時間に余裕があるし、面白い写真が目に入ったから、足を止めたという。
「不忍池の蓮と、水面の光がいいわね」と作品を指す。出品している松戸の吉田さんがやってきた。メトロシニア写真展はギャラリーと違い、乗降客や大勢の通行人に見てもらえるから、それはうれしいものです、と語る。写真キャリアは約20年でも、喜びの心情は変わらないらしい。
「講師は著名な中谷吉隆(日本写真家協会会員)先生だから、それが魅力で申し込みするひとも大勢いますよ。参加費は無料ですしね。ただ抽選にあたらないと、参加できないのが難点」という吉田さんだが、今回は夫婦で抽選に当たり参加していた。数多く撮った中で、どの作品を提出するかと、夫婦で話し合いながら選ぶ。これも楽しく、生き甲斐のひとつになっているという。
シニアに限定した写真展は他にありますか? と聞いてみた。「私の知るかぎり、ここだけですね、首都圏では」と答えてくれた。主催者のメトロ文化財団の青木さんから、理由が聞けた。「メトロは高齢化社会に向かう今、シニアに生き甲斐として、趣味として、写真教室と写真展の場所を提供しているのです。第1回(浅草の羽子板市)から、限定50人ですが、60歳以上の方ならば、だれでも参加資格があります」。
優劣を争うのではなく、全員の作品が2−3点ずつ展示されます、と強調する。
「もうひとつの特徴は、午前中は中谷吉隆講師による写真教室です。これも第1回からの恒例です」。テーマとなる現地写真を事前に撮影してきた中谷講師が、スライドを使い、撮影ポイントを説明していく。技術的な質問にも受け答えする。昼食後は講師とともに全員で、撮影大会(毎回、地下鉄の沿線がテーマの場所)に向かう。去年の10月27日は朝から雨だったけれど、湯島駅に着いたころには止んでいたという。
中谷講師から話が聞けた。「各賞を受賞したベテランから、フイルムがカメラに入れられない初心者までいます。リタイアした男性、子育てが終わった女性、ともに被写体をもとめて歩けば、健康にもつながる。そのうえ、高齢になっても写真を撮ることで、花や情景に夢中になれる、自分自身の再発見になるのです」。
メトロシニア展では女性の参加者が増え、いまや三割強。デジカメの参加者も増加してきた。コンパクトカメラの手軽さで参加する、それもいいことだという。上手、下手や経験など問題ではないらしい。
カメラを持つと、男性は考えすぎて理屈で撮影する傾向がある。女性は思い切りや度胸がいい。夫婦で参加しても、夫人のほうが良い写真を撮るケースが多い、と中谷氏が語っていた。
「写真の最大の特性は記録です。シャッターを切れば、生きた証しが撮れます。写真撮影を通して、生きる喜びを知ってもらいたい。シニアになって趣味が写真と答えると、芸術の香りがするでしょ。魅力じゃないですか」と温和な笑みを浮かべられた。
東京メトロは毎年、春と秋の2回実施している。次回は5月20日ごろ、北千住と周辺を予定している。受け付けは4月中で、募集方法は地下鉄駅の『メトロニュース』で告知する。【了】
■問い合わせ先はメトロ文化財団 03−3253−6948

