PJ: 穂高 健一
緊急アドバイス!年末年始の海外旅行者の皆さんへ
2005年12月26日 16:51 JST

海外旅行者への助言をしてくれた田中嘉文さん、丸の内にて。(撮影:穂高健一) 
海外旅行の出発ピークは12月29日、帰国のピークは1月3日である。旅慣れない数回の海外旅行者や子ども連れが多く、注意するべき点は多い。そこで40年間にわたり海外旅行者を世話してきた、経験豊富な田中嘉文さんに正月休みを利用する海外旅行者への心構えと注意点を語ってもらった。田中さんは、JALパック、JCBトラベル、海外旅行コンサルタントを経て、1月7日にシンガポールにあるロイヤルクメール航空副社長として着任した。
海外旅行、年末年始は最悪の時期
「年末年始は、最悪の時期の海外旅行だと、まず認識することです。どこに行っても、家族連れやグループ旅行や団体旅行で混みあっている。値段が高く、サービスは低下している。それを前提することです」。田中さんはこう語り始めた。
テロ対策が厳重で、従来の感覚だと対応できないという。「自宅を出る前にはパスポートと航空券のローマ字の名前が合致しているか、まず確認することです。スペルが一文字違っていると、航空会社は盗まれたパスポート使用だと判断し、ぜったい搭乗させない。これは厳格です」と強調した。
空港の警備体制は厳重で、80歳代のお年寄りでも靴を脱がせて調べる。男性はベルトを外させる。ライター一つでも没収。一人ひとりのチェックは厳しく、順番待ちの列が長く、従来の二倍の余裕をみても乗り遅れることがあるという。
ローマ字の名前やウエスト・ポーチは厳禁!子供を使った泥棒も!
「旅行ケースには、ローマ字の名前を書かない。悪意ある現地人に『田中さん、こっちよ。待っていましたよ』と親しく呼びかけられる。知人かと思ってしまい、大変な被害に遭うケースがあります。どうしても書きたければ、日本人しか通用しない〈ひらがな〉が良い」のだという。
また、ウエスト・ポーチは使わない。「ここに貴重品が入っていますよ、と教えるようなもの。ポーチが後ろは最悪。窃盗犯にカッターナイフで切られて盗られてしまう」そうだ。
イタリアやスペインなど観光スポットでは、難民を装った悪質な中近東系の人たちもいるという。貧しい身なりをさせた子どもを使い、「これを買って」とか、「お金をちょうだい」とか、片言の日本語で呼びかけさせる。ひとたび金を出すと、いいカモだと判断され、たちまち大勢集まり、歯止めが利かなくなる。あげくの果てには取り囲んで、バッグを奪う。
旅行会社が事前に注意しても、この手の被害があとを断たない。「すり寄ってくる子どもを可哀そうだと思わず、相手にせず、目を合わせないことです。バックを乗り物の網棚に置くのは最悪、いっさい手から離さないことです」と注意を促した。
時差ボケ解消策は?
米国など航空機で移動するときは、非常口の横のシートに座らない。緊急時に、スチュワーデスに協力する役目を持ちますから、英語が堪能でないとなると、他の席に移されてしまう。満席の時などは、とかく太りすぎの人の隣りのシートしか空いておらず、そこに座らされ窮屈な思いをするという。
田中さんの時差ボケ解消のコツは、「人間の体内時間に合わせること。ハワイで例えると、到着すると、日本は真夜中だが、現地は朝。そのまま行動するのではなく、一睡する。さらに日本時間で食事をすることが秘訣です。日本だといま朝食の時間、昼食の時間だとそれに合わせる」ことだという。パイロットがよく使う時差ボケ解消法だと教えてくれた。
マナーに気をつけよう!
外国でのマナーには特に気をつけたい。「ニューヨークのグランド・ゼロ(「9.11」同時多発テロ事件の現場)で、ピース・サインをつくり、写真を撮る若い女性は最悪です。貿易センタービルで亡くなったひとの人骨の粉が散った地面の上で、Vサイン(勝利者)、アルカイダの関係者と思われてしまいます」。
「マナーの面では、男性はレストランや美術館で帽子を被らないことです。女性はファッションとして許される面があるけれど、それでも欧米人のように、帽子は脱いだほうが良い」。
「ホテルの朝、団体の集合時間ギリギリだと、日本人は客室からのエレベーターを降りた途端にロビーを駆けだす。これは最悪のマナーです。走ったところで、1分と時間は変わらないのに」と田中さんはいう。
「ワシントン条約に違反したお土産は買わない。簡単に象牙などを買い求めるひとがいるけれど、税関で没収。偽物のルイビトンとか、グッチとか、ローレックスとかを買うと、これも没収されてしまいます。日本人旅行者のメンタリティーは、昭和四十年代に海外旅行が自由化されたときと、あまり変わってないんです」。
「なによ、このレストランは、日本だと水を持ってくるのに。なによ、このホテルは、日本だとフロントは愛想がよいのに。東南アジアで、スコールが降って水溜まりができれば、現地人子どもは水で遊ぶ、婦女子は洗濯をする。それをみて、こんなところでよく生きていけるわね、不衛生ね、この国は」。こんなことは間違っても口走らぬよう、気をつけたい。
「せっかく海外旅行されるのだから、日本感覚は捨てて、愉しむことですね」。田中さんはそう締めくくった。【了】

