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PJ: 穂高 健一

女性の山登りは、自然との出会い、人との出会い、そして絆(3)
2010年04月22日 17:25 JST


低山から始まった山登り。回数を重ねながら、地図の読み方、山の気象、病気、ケガの対処方法などを学び、北アルプスなど高所を目指す。登山歴65年の小倉董子(のぶこ)さんはその道筋を作っている。(撮影:滝アヤ、2月12日、東京・江東区) 

【PJニュース 2010年4月22日】(2)からのつづき。女性登山家の第一人者の小倉董子さんは、女性の山登りのあるべき姿について具体的に語ってくれた。

「山登りには基礎的な知識(装備、技術)だけでなく、アイデアや工夫などで、生きる知恵を身につけていく、その向上心が大切です」

山登りの回数を重ねながら、地図の読み方、山の気象、病気、ケガの対処方法などを学んでいく。体力、気力の充実とともに、判断力を身につけていく。そのプロセスが楽しくなる、という山登りを推奨する。

「山で死んではならない。無知の怖さを知ることです」と小倉さんは強調する。晴天に恵まれた山ならば、リーダーのあとについていけば、登れてしまう。人任せで登っていると、山の知識はなに一つ覚えない。いつまでも自分で判断、決断ができない人になってしまう。それでは遭難の危険がつきまとう。

「付和雷同型の山登りは困ります。冷静に判断ができるリーダーになる。それを初心者のうちから目指すべきです。連れられ登山から脱却する、それが安全な登山への近道です」と小倉さんはくり返す。

「日本の山は、天候の急変はあたりまえです。春山はまだ冬と隣り合わせです。温度差も激しく、気象条件も複雑になります。突如として、激しい雨、強風、雪に出会ったりします。低い山だから、大丈夫とはいきません。道に迷う、そのほとんどが悪天候によるものです。登山もハイキングも基本はおなじです」

雲の種類や雲行き、観天望気を学び、悪天候を予測できれば、早めの判断ができる。そうした技量と危険を察知する五感を磨くことだという。

「山の風もあなどれません。昼間は山麓から山頂に、夜は逆に吹き降ろす。こうした特性も知ることです。風が強くなると、人は風に向かって進みがちになります。これは方向を見失うことになります」

山では地形によって、風が複雑に吹く。コルや背、峠、尖った場所では風が強くなる。

「雨具は晴天でも持参し、強風のときは体温が奪われますから、タイミングを逃さず、着ることです。寒さから身を守る、大事なことです」

寒さに震えると行動力が鈍り、判断力をなくし、体力をなくし、挙句の果てには動けなくなってしまう。風速1メートルごとに体感温度が1度下がります。だから、山の風は侮れないと話す。

春山の遭難の原因は、残雪期の雪崩や夏道が見つからない、突風や吹雪など、過去から数多くの事例がある。ベテランでも、山では道に迷ってしまう。道を間違った、迷った、と気がついたら、パニックからできるだけ早く抜け出て、冷静に判断し、行動することだという。

「もう少しだから、せっかくここまで来たのだから、それは命を捨てるようなものです。暗くなる前に、無理な行動をせず、野営できる方法を考えるべきです。体力を消耗せず。それが賢明な方法です」

最悪の状態でも、冷静になり、対処できることが大切だ、と小倉さんは強調する。【つづく】

■関連情報
ようこそ小倉董子さんの「人と自然とちょっと冒険」の世界へ

記者HP:穂高健一ワールド

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