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PJ: 穂高 健一

人間のいのちとは何か、生きるとは? 写真展「アフリカ」で=東京(上)
2009年11月13日 07:33 JST


「夜通し歩き、カレマ・キャンプに到着した何千人もの難民たち」(ティグレ州西部、エチオピア、1985年)。Photographs by Sebastião SALGADO / Amazonas images.Organized by Lélia Wanick Salgado, the Exhibition Curator. セバスチャン・サルガド アフリカ展★10月24日―12月13日。(写真提供:東京都写真美術館) 

【PJニュース 2009年11月13日】アフリカはかつて「暗黒の大陸」と呼ばれていた。ほとんどの国はヨーロッパの植民地で、民は搾取されて苦しめられてきた。1960年代から独立し、いまでは独立国が50カ国を超えている。その後は政争、民族間の争いなどから、各地で内戦が勃発(ぼっぱつ)した。武力をもって激しく行われ、大量虐殺に及ぶ。逃げ惑う、難民の数は膨大だ。

自然環境が狂い、豊かだった湖が大干ばつで砂漠になった地域がある。耕作するには水がない。食料飢饉(ききん)で、その地に生まれ落ちた乳幼児から老人まで、生命の危険にさらされている。

日本からみれば、「アフリカ」は地球の裏側で、出来事が悲惨でも、ひとごとに思われがちだ。アフリカの人々の姿をあえて直視すると、生きることがこうも大変なことか、と痛感させられてしまう。

写真家・セバスチャン・カルガドの『アフリカ』が、東京・恵比寿ガーデンプレィスの東京都写真美術館2階展示室で開催されている。サブタイトル「生きとし生けるものの未来へ」。主催は同館と朝日新聞で、後援は駐日ブラジル大使館、駐日フランス大使館である。12月13日(日)まで。入場料は一般800円、学生700円。

同展の写真キャプション(説明文)、資料、作家の説明などを引用させてもらい、セバスチャン・カルガドの作品「アフリカ」を紹介したい。

PJの主観がたぶんに入ってくる。客観的かつ距離をおいて同展を観る必要はない。記者といえども、「アフリカ」写真と向かい合い、おなじ人間として「いのちを考える」「いのちを感じ取る」という姿勢で、同展をとらえたい。

日本人は豊富な食料で、ぜいたくな暮らし。賞味期間が一日過ぎたからといって、廃棄してしまう。こんな日本で良いのだろうか、と地球資源のアンバランスな配分までも、考えが及ぶ。

セバスチャン・カルガドはブラジル人で、フォト・ドキュメンタリーの先駆者だ。元来は経済学を専攻し、ブラジル・大蔵省に勤務していた。同国の軍事政権の下で、彼を取り巻く状況が悪化してきたので、パリに移住した。
1971年には国際コーヒー機構(ICO)のメンバーとして、ルワンダに訪れた。「アフリカ」の写真はそこがスタートとなっている。40カ国以上で撮り続けてきたなかから、100点が展示されている。

1994年にルワンダでは部族の抗争、内乱から大量虐殺が行われた。80-100万人が犠牲となった。それらが日本に報じられても、数字が大き過ぎて、かえって実感が伝わってこなかった。遠くアフリカの出来事だと思うと、なおさらだった。同展では、日本人の目を、アフリカの現場においてくれる。

「アンゴラ民族解放戦線(FNLA)から奪取した敵陣近くの『バラ・ド・ダンテ』地区で活動する、アンゴラ解放人民運動(MPLA)のゲリラ部隊」(アンゴラ、1975年)と題した写真は、悲惨そのものだ。軍服姿の一体の腐乱死体がクローズアップされている。人肉は鳥類に食べられたのか、無残な姿で放置されている。これが戦争というものなのか。

「ティグレからスーダンに脱出する人たち。所持品をすべて身に着け、機銃掃射をしかける偵察機に目を光らせる女性」という写真では、鍋を頭に被る女性が、逃げながらおびえている表情をしっかりとらえている。兵士は非戦闘員の女性にも、銃を向けるのだ。これでは大量虐殺が起きてしまう。

地雷で片足を失った母親が杖をつくそばに、幼子が立つ。祖母らしき人物も足を失い、一本足だ。戦う男たちはなぜ卑劣な地雷を仕掛けるのか。
犠牲者の多くは何の罪もない女性や子どもたちなのだ。「いのち」の軽視か。それも人間の業かと考えてしまう。【つづく】

■関連情報
東京都写真美術館

記者HP:穂高健一ワールド

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