SakuraFinancialNews

PJ: 穂高 健一

オリンピック招致は3連続の惨敗。日本には切り札の都市があるぞ
2009年10月06日 07:00 JST


IOC調査委員会が東京にきた、半年前の記者会見では、石原慎太郎・東京都知事から「成功裏だった」「情熱の勝利」という発言が飛びだしていた。東京招致には失敗。(撮影:吉川忠行、09年4月、都内) 

【PJニュース 2009年10月6日】オリンピックは4年に一度、人々を熱狂させる魅力ある世界大会だ。数多くの国や都市が誘致に血眼になる。多額の金と人材をつぎ込む、熾烈(しれつ)な戦いだ。

2016年夏季オリンピック大会の開催地が、リオデジャネイロ(ブラジル)に決定した。南米で初の五輪。現地の熱狂的な歓迎の写真から、ブラジル国民の喜びが伝わってくる。

1964年の第18回オリンピック開催が東京に決定したとき、リオと同様に日本国民は沸きあがった。それ以上だったかもしれない。理由は戦前にある。第12回オリンピック(夏季)が1940年9月21日から10月6日まで東京行われる予定だった。日中戦争の影響で、諸外国でボイコット運動が大きくなり、開催辞退へと追い込まれたのだ。日本人は失望した。

戦後は「平和でなければ、オリンピックは開けない」という認識が日本国民の常識になった。平和憲法が定着する一方で、東京オリンピックをとりもどしたい、と望む国民の声が高まってきた。熱意が後押しになり、1964年夏季オリンピック大会の東京開催に成功したのだ。

日本国民は熱狂的な歓迎で、国家的事業として、新幹線、高速道路、インフラの整備に伴う、高度成長期に突入した。東京オリンピックが経済大国への大きな礎になった。

このたびの「2016年夏季オリンピック大会」の東京招致にたいして、都民には熱気がなかった。約半数は冷めていた。盛り上がりに欠けたことが、敗北の理由のひとつとなった。

IOC調査委員会が東京にきた4月、招致委員会の記者会見(4月19日)では、石原慎太郎都知事をはじめ責任者から「成功裏だった」「情熱の勝利」という発言が飛びだした。PJは懐疑的になった。

壇上の招致委員の元オリンピック選手たちの顔ぶれをみて、「これで勝てるのかな?」という思いを強く持ったからだ。器が小さい、知名度が低い。(大阪招致の反省から)銀メダリストが多少英語を話せる理由で、選ばれている。百戦錬磨のロビー活動など満足にできない、と簡単に想像できた。

IOCは国連関係の機関でなく私的な団体だ。ロビー活動が重要だ。決定打のひとつは知名度にある。決選投票をまえにコペンハーゲン(デンマーク)に入った、「サッカーの王様」ペレの写真を見て、日本は負けたな、という思いを強くした。

ペレは現在も、世界的な称賛と尊敬を集めている。東京の元オリンピック選手たちは、その知名度において足元にも及ばないからだ。

東京招致はここ一番、「環境」で差別化を図ろうとした。前回の北京オリンピックでは、都市環境の悪さが問題視された。その裏返しならばポイントを取れる、と判断したのだろう。鳩山首相の演説に賭けた。京都議定書ひとつ見ても、アメリカは批准していない。環境は強いインパクトではなかった。

古代オリンピックは「平和の祭典」だった。近代オリンピックも、その精神を受け継いでいる。戦争とか、戦いとか、その国が関与していれば、オリンピック開催から遠のく。

世界的な平和の知名度から、日本には切り札の都市がある。それは「広島」だ。世界中の学校教育の歴史教科書には、被爆都市・広島の名が必ず出てくる。その認知度は抜群に高い。

1988年の名古屋、2008年の大阪、2016年の東京も五輪招致に失敗した。戦いに3度も破れた。日本が2020年オリンピックに、雪辱をきすならば、再び東京でなく、広島を推してみてはどうだろう。

広島は、いまや平和を語るときに欠かせない存在だ。平和の祭典のオリンピックと結び付けた戦略ならば、広島に有名な元オリンピック選手がいなくても、開催地招致の勝算は高いだろう。【了】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド

PJニュースは一般市民からパブリック・ジャーナリスト(PJ:市民記者)を募り、市民主体型のジャーナリズムを目指すパブリック・メディアです。身近な話題から政治論議までニュースやオピニオンを幅広く提供しています。

PJ募集中!みなさんもPJに登録して身の丈にあったニュースや多くの人に伝えたいオピニオンをパブリックに伝えてみませんか。



関連記事:
タグ:
pagetop

PJ 記者