PJ: 穂高 健一
写真展「旅 異邦へ」が開催。著名な写真家が見た異国の世界=東京
2009年10月05日 07:48 JST
著名な写真家たちが戦前、戦後に海外に渡り、撮影した138点の作品が展示されている。何を感じ、どう切り取ったのか。さすがだと思う作品が並ぶ。(撮影:滝アヤ、9月29日、東京) 
【PJニュース 2009年10月5日】旅とは、ふだんとは異なる空気を感じる場所に身を置くことだ。戦前、戦後は海外渡航がまだ一般的でなかった。異邦に渡った写真家たちが撮影した、海外写真が貴重な情報のひとつだった。後に名を残す著名な写真家たちは、何を見て、何を撮り、何を伝えてきたのか。
東京写真美術館(目黒区・恵比寿ガーデンプレイス内)では、『旅』シリーズの最終回、第3部「異邦へ」が開催されている。すでに終わったが、第1部は「東方へ 19世紀の写真術の旅」で、ダゲレオタイプ(銀板写真)からカロタイプ(紙ネガ、ポジ法)をつかった、19世紀の旅行写真だった。西洋人たちが極東の日本で撮影したもの。歴史の考証にも役立つ作品が多かった。
第2部は「異郷へ 写真家たちのセンチメンタル・ジャーニー」で、1970-80年代に、戦後世代の日本の写真家たちが撮影した作品で構成されていた。観光地、山奥、街並みなど、新たな日本の発見だった。
いま開催されている、第3部「異邦へ」は、「日本の写真家たちが見つめた異国世界」というサブタイトルだ。11月23日(日)まで。入場利用は一般500円、学生は400円。
戦前の写真家としては2人で、世界一周した安本江陽、コロンビア大学医学部に留学した福原信三の作品だ。絵画的に、旅先を捉(とら)えている。
戦後のスタートは、著名な木村伊兵衛からだ。かれは戦後、たくましく生きる、人々をスナップショットで撮りつづけてきた写真家だ。同展に展示されたフランスの街角でも、かれは好奇心にあふれた目で、人物に注がれている。
渡辺義雄は建築写真家として高く評価されている。イタリアでも、精巧な建造物と人物が絶妙なバランスで捉えられている。
雑誌「ライフ」の写真家として活躍した名取洋之助はニューヨークからロサンゼルスまで8000キロに及ぶ撮影旅行をおこなった。のどかな古きよき時代のアメリカ像が写し撮られている。
この時代として、桑原甲子雄、三木淳、林忠彦の作品などが並ぶ。
奈良原一高は1962年から65年までパリを拠点に活動した写真家。「ヨーロッパ・静止した時間」「スペイン・偉大なる午後」が代表作品だ。その後、ニューヨークに四年間滞在した「消滅した時間」は高い評価を受けている。
川田喜久治の「ヌード・ミュージアム」は海外の美術館で撮影された、名画がテーマになっている。
長野重一は旧東ドイツのベルリンを捉えた、個展「ベルリン 東と西」で日本写真批評家協会賞、「強制収容所」で、カメラ芸術大賞を受賞している。それらの受賞作品が展示されている。
山岳写真家の白川義員の代表作「マチャプチャリと月」は地球の美と神秘を壮大に捉えようとしたものだ。
『旅』シリーズは同館が誇る約2万6000点のコレクションから選りすぐった作品ばかり。第3部「異邦へ」の出品の作品数は138点である。
撮影は1930年代から1980年代までだから、やや古い面影が漂う。日本を代表する写真家たちだけに、撮影技術、テーマ、狙い、切り口など、さすがだと思う作品が並ぶ。【了】
■関連情報
東京写真美術館
記者HP:穂高健一ワールド
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