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PJ: 穂高 健一

【ふたりのよこ顔】起死回生で、伝統文化の再構築になるか=横浜(5)
2009年10月02日 07:00 JST


「蓮華草元町工房」では7人の匠が伝統技術を駆使し、新しい家具作りに励む。(撮影:滝アヤ、91日。横浜) 

【PJニュース 2009年10月2日】(4)からのつづき。現代の日本人は、家具店にならぶ既製品を買い求める。サイズ、デザイン、値段が中心である。これらの家具はほとんどがウレタン塗装。販売される時が最高の状態で、その後は劣化してくる塗装法だ。プラスチックのような硬さで、カンナがかからない。パリッと割れたら、補修がきれいにできない。

横浜元町家具づくりの蓮華草元町工房は特注品のすべてが作る側、買う側、ともに話し合いからはじめる。

「どんな家具が欲しいのですか。何が好きですか。どんなものに興味がありますか。どんな部屋でしょうか」

そのような打ち合わせには多くの時間をとる。マーケタリー(木象嵌)作家の蓮尾知子さんは、それがイギリスで学んだ工房との共通点であるという。

「木は必ず劣化します。娘さん、お孫さんが箪笥など家具を持って嫁ぎたいといえば、バラして(解体)、もう一度カンナをかけ直せば、元の状態に戻ります。30年、50年後の補修を前提として、特別なとき以外はウレタン塗装をしない。無垢(むく)材はもちろん薄く、スライスされた突き板さえも、カンナで仕上げています。それが横浜元町家具の特徴です」。内田さんはそう強調する。長い伝統が保った家具作りだ。

横浜開港後から、横浜元町家具が発達してきた。日本人は江戸時代から物を大切にしてきた。家具を大切にするヨーロッパの人たちと同じ精神だった。しかし、日本では高度成長期を境に、家具は一代限りのもの、と考えが支配的になってきた。家具は壊れたら捨てて、買い換えればよい。その思想の下に、家具は修理、修復を前提としない、生産方式で、世に送り出されてきた。現代までも続く。

内田さんは世間の風潮に疑問を持ち続けていた。5年まえに、家具職人が2人になったところで立ち上がった。それは150年の伝統、横浜元町家具づくりの火を消すな、という合言葉だった。修理、修復できる、本ものの家具作りを謳(うた)った。必ずや、代々受け継がれる家具が尊重される時代が再びやってくる、世の主流になる、と信じた。

いまや「蓮華草元町工房」では7人の匠が伝統技術を駆使し、新しい家具作りに励む。木象嵌作家の蓮尾知子さんも加わった。消える寸前で、再熱してきたのだ。

世界的な環境問題から、物の使い捨てが許されなくなってきた。廃棄された家具を燃やせば、CO2で、地球を汚す。物品が丈夫で長持ちし、補修ができれば、環境にやさしくなる。その思想が世界の主流になりつつある。この流れがきっと横浜元町家具を後押しするだろう。【了】

■関連情報
蓮華草元町工房
記者HP:穂高健一ワールド

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