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PJ: 穂高 健一

【ふたりのよこ顔】起死回生で、伝統文化の再構築になるか=横浜(4)
2009年10月01日 08:14 JST


蓮尾知子さんはイギリス留学で、家具製作の理論と実践を学んだ。マーケタリー(木象嵌)の技術を持ち帰り、横浜元町家具に生かす。(撮影:滝アヤ、9月1日、横浜) 

【PJニュース 2009年10月1日】(3)からのつづき。蓮尾知子さんは東京農業大学の畜産学科を卒業し、メディカル会社で病院回りの営業を行っていた。山岳写真家だった夫がアラスカのベースキャンプで急死したことから、イギリスに留学した。芸術・デザイン専門カレッジで2年間は、家具製作の理論と実践を学んだ。その後もイギリスに滞在し、マーケタリー(木象嵌、もくぞうがん)の技術を身につけてきた。

帰国後、象嵌作家として活動を行う。木象嵌とはなにか、と蓮尾さんに聞いてみた。「種々の天然木材を用いて、家具などに、絵画のように装飾を施すものです。あるいは美術画のように、額に入れて飾ったりします」と教えてくれた。

内田勝人さんの「横浜元町家具」の伝統継承と顧客主義に共感をおぼえ、蓮華草元町工房(れんげそう もとまち こうぼう)に入った。それは学んだイギリスの伝統的な家具システムとよく似ているからだという。

他方で、横浜市内でカルチャーセンターの講師として、木象嵌の普及に努める。受講生は20代から70代後半まで。会社で木に触れている、鎌倉彫刻をやっている、漆をやっている、木工に関わるひとたちが、自分の作品に装飾をもう少し施したいと、学びにきているという。

イギリス人と、現在の日本人と家具の認識が大きく違う。それについて、蓮尾さんは語る。

「イギリスの建物は石ですから、数百年は持ちます。家にあわせて家具をそろえていく、という考え方です。祖母の代では何を買ったから、私の代では椅子(いす)を買おう。孫の代になれば、なにを買おう? とそろえていく。家具とは時、時間をいっしょに過ごすものなのです。『Well Used』といい、古い家具ほど伝統品として、とても大切にします。家具の補修はこまめに行います」と話す。日本のように新品と買い換える発想はないという。

「イギリスでは、ぴかぴかの新品家具は嫌がります」。若いカップルが結婚し、生活家具を買いそろえるとき、古い家具が集まるオークションに行って買い求める。家族が増えて家具が小さくなると、きちんと修理してから、オークションで売る。そこで得たお金を下金に、大きな家具に買い換える。こうしたサイクルが地域ごとに出来上がっていると教えてくれた。

「母親が愛した花を、家具に施したい」と思うと、新しい家具を求めて工房にいく。職人とデザインや材質を打ち合わせて、思い通りの家具を作ってもらう。できあがった家具と、時を一緒に過ごす。【つづく】

■関連情報
蓮華草元町工房
記者HP:穂高健一ワールド

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