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PJ: 穂高 健一

大都市の高級住宅地に、静寂な武蔵野の森があった=東京
2009年09月18日 06:40 JST


大都会のど真ん中で、広大な自然教育園(約20万平方メートル)は、武蔵野の面影を残す。(撮影:滝アヤ、9月8日、東京・白金台) 

【PJニュース 2009年9月18日】真夏の暑さから解放された。東京都内で、秋風や秋の花が楽しめる場所を探し求めた。港区・白金台といえば、高級住宅地だ。一坪(3.3平方メートル)の土地はいかほどか。邸宅にしろ、高級マンションにしろ、一般庶民には手がとどき難い。かつては国の迎賓館(現在は東京都庭園美術館)があった。高級な雰囲気が漂う。

都営地下鉄・白金台駅から徒歩4分で、とてつもなく広大な自然教育園がある。敷地は約20万平方メートルで、日比谷公園(約16万平方メートル)よりも広い。自然のまま、武蔵野の面影を残す。正式には国立科学博物館付属自然教育園で、自然保護と研究が中心であり、観光PRなどしていない。それだけに、静寂な秋が楽しめる、穴場だといえる。

JR目黒駅からも徒歩7分で、同園の正面玄関だ。入園者にはリボンが一人ひとりに手渡される。高校生以下と65歳以上無料であり、リボンは入園者数を数えるためのもの。園内に入れば、山間の里山や人工林などとは違う。武蔵野そのもので、自然の宝庫だ。巨木から潅木までが林を形成する。草花、昆虫、水生動物などが棲む。それに鳥類も多い。

武蔵野の森がなぜ白金台に残ったのか。400〜500年前は豪族の館だったという。江戸時代には高松藩主の下屋敷、明治時代は陸・海軍の火薬庫があり、大正時代は白金御料地だった。当然ながら、一般人は立ち入りができなかったことから、武蔵野の自然がそっくり残ったのだ。1949年には全域が天然記念物に指定された。と同時に、一般にも公開された。

園内に入ると、「樹木園」だ。路の両側には若木、巨木、老木がうっそうと茂り、枝葉が頭上に被さる。シイ、コナラ、クヌギ、ムラサキシキブ、ヤマハギ、ケヤキなど、園内には約80種がある。「路傍(ろぼう)植物園」には、林の切れ間の日なた、日陰になどに野草類が育つ。立て札で、植物名がていねいに記されているから、学ぶには最適だ。

「ひょうたん池」ではアメンボが気持ちよさそうに滑走する。水中では亀が数多く生息していた。細い道を行くと、「水生植物園」だ。周囲の樹木や植物が池面に映り、美しく静寂な光景だ。

いまはススキの穂が見ごろで、中秋を感じさせる。鮮やかな彼岸花、薬草のゲンノショウコウ、秋の七草・フジバカマの花なども見ごろだ。民家の花壇の花とは違い、野草の花は派手ではない。群生でなく、散発的に咲いている。ゆっくり観察すれば、トカゲ、イモリ、トンボ、チョウなどが簡単に発見できる。

来園者たちは、だれもが静かに自然を観察している。植物図鑑を手にして植物に向かい合う人、大型カメラで花の撮影をする人、子連れで学ばせる人、バードウォッチングで双眼鏡を手にする人。武蔵野の自然のなかで、一人ひとりが自分流の楽しみ方をしている。

同園では教育行事として、「日曜観察会」、「やさしい鳥学講座」、「都市小動物の生態講座」、「初心者のための植物学講座」などを行っている。いずれも自由に参加できる。学生や研究者には「生態学習」もある。

武蔵野の森は長く後世に遺(のこ)す必要がある。動植物は持ち込まない、花を折ったり、動物を捕まえたりしない。柵のなかには入らない、騒がしいグループ行為はしない。こうしたルールはしっかり守ろう。どこまでも教育の場としてとらえよう。【了】

■関連情報
自然教育園:休園は毎月曜、祝日の翌日、年末年始。
入園時間:午前9時から夕方4時まで。
入園料 :一般は300円。

記者HP:穂高健一ワールド
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