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PJ: 穂高 健一

さあ大変だぞ! 日本の出版界はどうなる。図書のデジタル化で、生き残れるのか(上)
2009年08月03日 10:04 JST


「補正予算で127億円をも付けられたら、国会国会図書館の図書のデジタル化が一気に進む。作家の死活問題です」と、作家の三田誠広さんは危機感をつのらせる。(撮影:穂高健一、5月15日、東京・日本文藝家協会の総会で) 

【PJニュース 2009年8月3日】西洋で印刷技術が15世紀半ばに発明された。ルネサンスの三大発明の一つといわれている。それまで、書物は一部の階層しか読めなかった。その当時はまだ高価だったにしろ、次第に多くの人が読めるようになってきた。いまや印刷文化が普及し、誰にでも著作物を購入し、読むことができる。

現代ではIT化が進み、デジタル文化が勢いを増す。他方で、印刷による紙出版の文化が大きな荒波に飲まれている。

今年になって「グーグルという黒船の来航」により、出版界を中心に、大騒ぎが起きている。私企業『グーグル』が、アメリカの主要な大学図書館の書籍をデジタル化し、無料で読める、という環境をつくり出していたのだ。それが日本に伝わってきた。

著者も、出版社も、印刷会社も、「明日のわが身はどうなるのか」と、ペリー提督の黒船来航のような、先行き不透明な騒ぎになっている。

当初は、グーグルの無料化はまだ海外の話だろう、と思っていた。ところが、思わぬことが判明した。日本の某大手出版社は発行物をその都度、ハーバード大学図書館などに寄贈していたのだ。グーグルはそれら日本の書籍も組み込みデジタル化しているのだ。

つまり、日本書物も一部は無料で読める状況下になっている。こうなると、単なるアメリカの問題ではなくなった。

それでも、まだアメリカのグーグルの話だと思っていた。ところが、日本国内に、思わぬ伏兵がいた。それは国立国会図書館の図書や資料のデジタル化だった。
「国会図書館の膨大な蔵書がデジタル化される。それには人手もかかるし、数百年かかるだろう、と見ていた」と作家の三田誠広さんは話す。

わが国は今国会の6月、法律改正で、国立国会図書館において、資料保存が目的ならば、著者や出版社に許諾をもとめなくても、デジタル化してもよいことになった。さらには、今年度の補正予算で127億円をつけたのだ。

「こんな膨大な、127億円をも付けられたら、一気にデジタル化が進む」と三田さんは危機感をつのらせる。

政府は著作権法改正が行った。それにより、国会図書館は著者や出版社の許諾なく、デジタル化をしても良いことになったのだ。

「国費165億円も使ってデジタル化し、東京の同館に来館した人だけが、パソコンで見られるのは公平性を欠く。近い将来は各図書館に配信したい」と長尾真館長は構想を示す。

わが国では再販制度で、日本中のどの書店でも、同一価格で本が売られている。つまり、法律の保護がかかっていたのだ。

グーグルのみならず、国会図書館の本までも、デジタルで読めるようになれば、本を買う人はいなくなる。「さあ、大変だ」と、出版業界は危機感を募らせ、互いに情報を求め合っている。誰もが明瞭(めいりょう)な見通しを持っているわけではない。【つづく】

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記者HP:穂高健一ワールド
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