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PJ: 穂高 健一

さあ大変だぞ! 日本の出版界はどうなる。図書のデジタル化で、生き残れるのか(下)
2009年08月05日 09:11 JST


国立国会図書館のデジタル化されると、政治的な閲覧(アクセス)制限がかかり、『表現の自由を守る』が侵されないか。山田健太さんは危惧する。(撮影:穂高健一、5月25日、東京・日本ペンクラブ総会で) 

【PJニュース 2009年8月5日】(中)からのつづき。IT化で、世のなかが一変してきた。出版物も例外ではない。国民の誰もが、パソコンがあれば、図書や資料が無料で読める、という時代が目前まで迫っているのだ。

グーグルはアメリカ主要大学の図書のデジタル化をおこなっている。これら書物が無料で読めるのは時間の問題となっている。日本国内においても、今国会で成立した、図書館関係の法律改正で、国立国会図書館のデジタルアーカイブが認められたのだ。
出版関係者はこの先、どうなるのか。楽観論、悲観論が入り乱れている。

東京・電機大学の丹羽ホールで開催された、『日本版デジタルアーカイブを構想する』のシンポジウムでは、参加者たちは真剣なまなざしで、パルリストたちの意見に耳を傾けた。

作家の三田誠広さん(日本文藝家協会・副理事)は、国立国会図書館からのデジタル配信には強く反対した。「地方の図書館は予算が縮小される傾向にあります。国立国会図書館のアーカイブに頼り、書籍の購入を絞ってくる。閲覧比率の高いものばかりに。純文学などは購入しなくなるでしょう」と見通す。

純文学の書籍は、初版の発行部数が3000部から5000部ていど。「1000部は全国の図書館が購入しています。それ自体がなくなると、純文学の作家などはやっていけない。国立国会図書館のデジタル配信にはゼッタイ反対です」と強調した。

植村八潮さん(東京電機大学出版局)は、「出版物の企画編集、制作DPT、という点が出版社の役割として残る。しかし、印刷製本、取り次ぎ流通、書店販売が大きく変化するでしょう。今後はインフラ産業(ソフト・ハード、ネット流通、ネット販売)に変わっていく」と見通す。「これまでは絶版や閉架書庫で、読みたい本が読めなかった。デジタル化はそれらの問題解決につながる」、とデジタルアーカイブのメリットを認めている。

山田健太さん(専修大学准教授、日本ペンクラブ言論表現委員長)は、「書物の破損を考慮して、デジタル化の保存は良いことだ。利用者の便宜を考えて、日本中どこでも、どんな情報にもアクセスできること、それには反対しない。東京・千代田区立図書館では、インターネット上での電子図書館の貸し出し、返却サービスが実施されている」という。

ただ、時の政府から国立国会図書館に、不都合な書籍だと圧力がかかり、閲覧(アクセス)制限がかかるのではないか。書籍データからの削除も起こるのではないか。『表現の自由を守る』という図書館の役割が失われるのではないか、と危ぐする。

発言に注目が集まった長尾館長は、「デジタル化は文化財を後世に遺(のこ)す役目がある。書籍や資料のデジタル化は、誰もがどこでも、瞬時に読める。加工もできる。それは文化の進歩です」と時代的な役割を強調する。

「出版界にダメージが強いので、書籍はスキャンした画像のみです。本当は文字化したかった」と残念がっていた。文字化に反対した団体や名まえは出なかった。

書籍が画像となると、実は読みにくい。多少お金を出しても買って読みたくなる。出版業界の人たちは、このシンポジウムで多少の安堵(あんど)があったのではないか、と推量できる。

文字化の反対は、19世紀の産業革命で、失業を怖(おそ)れた労働者が機械を壊した、それに似ている。デジタル文化は確実に進歩している。文化の産業革命は止められない。いずれは国立国会図書館の文字化されるだろう。

紙印刷の書籍には装丁、デザインなどに魅力がある。愛着がある読者も多い。『紙で読むか』『デジタルで読むか』。それは読者の自由な判断であり、好みでもある。【了】

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記者HP:穂高健一ワールド
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