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PJ: 穂高 健一

報道写真から、世界が見える、人間がわかる、将来が読める(1)
2009年07月06日 09:39 JST


2008年世界報道写真大賞 アンソニー・スアウ アメリカ、タイム誌向け アメリカの経済危機――立ち退きを言い渡された住民が家に残っていないことを確認してまわる警察官ロバート・コール(=3月26日、オハイオ州クリーブランド) 

【PJニュース 009年7月6日】一枚の写真が世界の政治や経済を動かしたり、文化を変えたりすることがある。過去にはベトナム戦争がそうだった。ジャーナリストが戦地で撮った、報道写真が世界中にショックを与えた。米国民の間には、「われわれアメリカ人が女や子どもに、こんな惨(むご)いことしているのか」と反戦運動が広がった。そして、米軍の完全撤退、という戦争終結を迎えさせた。ジャーナリストたちは、そうした一枚の写真と記事を求め、世界を駆け巡っている。

「世界報道写真展2009」が、東京都写真美術館(東京・目黒区の恵比寿ガーデンプレイス)の地下1階展示室で開催されている。プロカメラマンが前年の一年間に撮影し、同財団に寄せられた写真コンテストの入賞作品である。主催は世界報道写真財団(本部・オランダ)、朝日新聞。共催は同美術館である。8月9日(日)まで。

今回は世界124カ国の5508人のカメラマンから9万6268点の応募があった。過去52回の中で最高。10部門で単写真、組写真から選ばれた、優秀な作品の約200点が同展に展示されている。一作品ごとに、観(み)る側に強く訴え、迫ってくるものばかり。PJの立場から、印象深い作品について、同写真展のキャプション(作品説明)を引用させてもらいながら紹介したい。

9万6268点の最高峰に立った「大賞」には、アンソニー・スアウ(アメリカ)の写真が選ばれた。アメリカ、タイム誌に掲載。タイトルは『米国の経済危機』である。
立ち退きを言い渡された住民が、まだ家に残っていないか。それを確認してまわる保安官ロバート・コールの姿をとらえている。(=3月26日、オハイオ州クリーブランド)。

民家の内部を見まわる保安官の銃が、不気味だ。家の内部は無人で、机やテーブルが乱れている。かつては平穏な家庭生活をいとなむ一家がいたことだろう。彼らはとりたてて悪いことをしたわけでもなく、ローン返済不能に陥り、住居が差し押さえられる。立ち退きを迫られて、退去する。あすはどこに住むのか。

金融危機が個人の幸せを奪う。一枚の写真から、一家の悲劇が切実に伝わってくる。写真キャプションによると、これら無人化した住居には、麻薬中毒患者、ホームレスなどが無断で住み込んでいるという。

「日常写真の部」の組写真2位、他の作品も金融危機を扱ったものである。

金利の引き下げが失業者の増加を招き、住宅市場の低迷に及んだ。金融危機のために、シカゴ・マーカンタイル取引所で、証券マンたちが見せた失望感、虚脱(きょだつ)な表情をよくとらえている。
さらにはクリーブランドの職業安定所で、溶接工か自動車修理工の仕事を探す人たちの、深刻な表情が写し出されている。【つづく】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド

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問い合わせ情報欄:

東京都写真美術館
会 期: 8月9日(日)まで
■休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
■料 金:一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 400(320)円



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