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PJ: 長戸 稔

みじめな「アル中」、好ましくない世代間連鎖は自分しか断ち切る事ができない (その5) =三重・伊勢市
2009年11月07日 07:05 JST


(写真提供:三重断酒新生会) 

「アル中」の私が子供にしてやれる事はなにもありませんでした。今から26年前は長男が高校1年、次男が中学2年でした。二度と来ない青春真っ盛りの受験を控えた長男に、私としていまさら責任が取れるはずがありません。そのために長男は大学を見合わせていました。私は「アル中」真っ盛りでした。

私は長男で姉が1人、妹が2人いる。実家は料理屋で女中さん、板前さん、仲居さんら、いつも20人位が働いていました。私の親父(おやじ)はいつも調理場で包丁を握っていました。毎朝の仕込みが終わると、その日の大半の仕事が終わったようなものでした。親父は帳場に座って酒を飲んでいました。そのような家庭で18歳まで過ごしてきました。私は東京に出て、大学を卒業して、結婚をしました。

私が結婚をして家庭をもつと、自分が子供のころから親父、おふくろのしてきた通りの事をしている事が多いのに気がつきました。私の家族モデルは家庭でしかないし、それが正しいとか、正しくないとか、分別を考えずに過ごしてきました。だから疑うこともしなかったし、親父の言う事、なす事のすべてが家庭のルールになっていました。

親父と私との世代間連鎖のなかで、最悪のルール「大酒飲み」連鎖を受け継ぐ事になってしまいました。それが「アル中」の始まりでした。親父が連鎖の悪い標的になっていましたが、それは違います。親父のまた親、子供にとっては祖父・祖母となりますが、親父もそのまた親から学習して、無意識に家庭の環境、体制をつくっていた訳です。

親父を責める事はできません。長い「アル中」生活の中で、気がついた者だけが、立ち直れる切っ掛けをつかむ事ができるのかも知れないと最近思うようになってきました。

誰もが子供の親ですから、朝から「酒」を飲んでいる事が良いと思っている人は居ません。悪い事をしていると思っていても、つい酒の魔力に負けて飲んでしまうのでしょう。自分の子が自分と同じように朝から「酒」を飲んでいる状態の事を想像してください。

私は20年前にやっと、そんな簡単な事に気がついて「アル中」から、脱出する事ができました。大事なことは、私が「アル中」になってしまったのは、「親父が親らしい事をしてくれなかったから!」と思っていたからで、その間は断酒ができなかった。なぜなら、親父のせいだと思っていたら、「自分の子供にもそのように接し、健康的な会話ができないからです。親父を悪役にしているあいだは断酒ができない」と思ってください。

普通の病気は回復さえすれば、元の元気な自分がよみがえってきます。酒で人生を失敗した人間は、断酒を死ぬまで続けなければなりません。私の回復が生きている内はないと思っています。3年間断酒ができたので、一杯ぐらいは良いだろうと飲んだ瞬間から、止まらなくなり、飲み続けて死んでいった人を多く見てきました。5年、10年断酒継続していても、一口、飲んだら止まらずに飲み続けて地獄へ行くのです。この事は「断酒継続」の基本中の基本ですから、必ず守ってください。

「アル中」の汚名を返上して「断酒継続中」に子供にしてやれること。下記の事を繰り返している内に、「連鎖」が断ち切れます。待つこと、続ける事しかありません。

※ 断酒継続中はひまをつくるな!腹をへらすな!待つことを覚えよ!

※ 断酒継続中であることを忘れるな!

※ 断酒会などの自助グループに入り、活動しよう!――「お父さんは本当に酒をやめる気だな」と子供は安心をします。

※ 「酒」を止めてやっているのだ」との態度は絶対にやめてください!――子供は敏感に感じます。そして不安になります。

※ 奥さんに対して威張り散らさない事!――子供が、母親がかわいそうだと思い、生活に集中できません。

※ 奥さんにやさしくしましょう!――子供が安心します。

※ 夫婦仲良くしましょう。――アルコール家庭にある子供はどこか暗い。なぜなら、怖い父に気をつかい、母を暴言と暴力で痛めつける毎日を過ごしてきたからです。どこか、子供らしくない。大人びた子が多い。母は何でも子どもに相談する。地獄を見たけりゃ、「アル中」の家庭を見よ!と言われるくらいです。・・・そんな父が断酒を始めた。本気の父を見て、今まで味わったことのない気分を味わう。父が「酒」を飲まない事を子供たちはひたすら祈る。こんな断酒している父を見て、「連鎖」が徐々に断ち切れていくのではないでしょうか。

※ 子供に関心を!――断酒しているのは自分のためなんだ!と自分に言い聞かせながら一生懸命な父の姿を、子供たちはジーッと見ている。子供たちにも優しくなろうではないか。

※ まず子供にあいさつをしよう!――まず、ビックリするだろう。こんな事、こんな父、今まで初めての経験。普通の家庭では当たり前の事がなされていないのがアルコールの家庭です。子供たちはあ然として、何も言わないが、それはそれで良いとして、知らぬ振りをされても毎朝続けることです。 ただ恥ずかしいだけで、「いまさらなんのまねだ」という態度をとられても、グッと我慢して続けることです。

※ 子供と雑談をしてみよう!
※ 子供がまだ小学生なら、一緒に遊びましょう!
※ お母さん! 息子を頼りにしていませんか!(共依存の関係になってはいけません)

いろいろ言ってきましたが、人それぞれ断酒のやり方は違うのです。専門家や先生は難しい事を言いますが、参考程度に聞いておけば良いのです。それよりも大切なことは、「他人は何で自分の言いたい事を聞いてくれないのか」と思わない事です。

自分が変われば人は自然と変わるのです。人を変えようと思ったら、自分が変わる事なのです。その事が分かるようになるまでは時間がかかります。我慢を覚える事です。
アル中になる人は100%支配力が強い人です。支配力強い事は良い事なのです。しかし、それは、支配されることに抵抗を感じるのでなく、受け入れる事ができる人なのです。

自分の断酒を見つけましょう!
「アル中」の親が断酒して、この好ましくない悪循環に早く気がついて欲しいのです。子供に影響与えた親が子供に働きかける事、「この事ができるのは、「アル中」のあなたしかいない」。(この原稿は相談をしてくれた沖縄、高知、長野、青森の主婦の方にお答えしました。)【つづく】

■関連情報
全日本断酒会
三重県断酒新生会
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